遺伝子検査におけるCAGリピート数からAGAのなりやすさを知ろう
遺伝的な観点から、AGAのなりやすさはCAGリピート数と言う指標によって判断することができます。このページでは、CAGリピート数はどういうものか?また、どのようにして自分のCAGリピート数を調べるのか?などについて説明します。
CAGリピート数とは
まず、このCAGリピート数とはどういうものかについて詳しく説明します。
DNAは4つのDNA塩基からなる
我々のDNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4つのDNA塩基で構成されており、形状は2重らせん構造をとっています。
この二重らせん構造では、必ずAとT、GとCがペアにになって向かい合っています。そして、その塩基の数はなんと30億にもなります。
CAGリピートはAR遺伝子内にある
AGAの原因の1つに男性ホルモン受容体の感受性の高さがありますが、その感受性の高さを決める遺伝子はX染色体内(Xq11~q12)にあり、AR遺伝子と呼ばれています。
そして、そのAR遺伝子の中にC⇒A⇒Gの順番で塩基が繰り返されている場所があり、それをCAGリピートと呼びます。そして、その繰り返しの数をCAGリピート数と言います。
このCAGリピート数は一般的には16~32が正常な範囲であり、平均値が22~25の間にあります。
CAGリピート数が低いとAGAが進行しやすい
男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)の感度が高いとAGAが発症しやすくなりますが、この感度とCAGリピート数には以下のような関係があります。
CAGリピート数が高ければ男性ホルモン受容体の感度は低く、逆にCAGリピート数が低ければ感度は高くなります。
その理由としては、CAGリピート数が高くなると、それを元に作られるポリグルタミン配列も長くなります。すると、この配列が立体構造をとった時に障壁となり、男性ホルモンとの結合を妨げてしまうからです。
逆にリピート数が低いと、その障壁も小さくなるので、男性ホルモンと受容体との結合が容易になってしまいます。
このことからCAGリピート数は、AGAのなりやすさにおいて非常に重要な指標と言えるでしょう。
CAGリピート数を調べる
AGA専門クリニックやAGA検査キットを利用しよう
CAGリピート数を調べるためには、
- AGA専門クリニックで調べてもらう
- 遺伝子検査キットを購入する
の2つの方法があります。
一般的な病院ではなくAGAを専門とするクリニックに行けば、このような遺伝子検査を2~3万円で受けることができます。そして、その後のアフターサポートについても丁寧にやってくれるでしょう。
また、個人でも遺伝子検査キット(通称:AGAドック)を使えば、この遺伝子検査を受けることができます。もちろん個人でやっても正確な検査結果がでるので安心してください。費用は13000円と病院に比べると安く済みます。
ちなみに私が実際にAGA検査キットを使って薄毛遺伝子やCAGリピート数を調べた体験談を下のリンク先に載せているので、もし興味があれば読んでみてください。
遺伝子解析の仕方
ここからは、自らの遺伝子を採取し、解析するまでの手順を簡単に説明します。こちらは直接関係はないので、読み飛ばしてもらっても結構です。
①検体の採取
まずは、遺伝子検査の検体として、
- 髪の毛
- 爪
- 唾液
- 血液
- 頬の内側の粘膜
を採取します。私の行ったAGAドックでは、頬の内側の粘膜を採取しました。
②DNAの抽出と増幅
採取した検体の細胞からDNAを抽出するために、有機溶剤や界面活性剤等を用いて検体の不要な細胞を破壊し、核の中にあるDNAを抽出します。
そして、抽出したDNAの温度を95度まで上げます。すると、2重らせん構造をしていたDNAのらせんがほどけ、それぞれ1本ずつに分離します。
分離した1本の鎖にプライマー(RNA断片)を加えると、プライマーに対応したDNAと自動的に結合します。その結合した場所をポリメラーゼという酵素が認識し、DNAの増幅を行います。
なので、調べたいDNA配列の場所にプライマーを合わせれば、必要な領域のDNA配列のみを増幅することができます。
③DNA解析
最後に上で増幅したDNAの塩基配列を調べます。CAGリピート数を調べる場合には、DNAの配列を直接読み取るシーケンス法が使われます。
これは、塩基配列をA、T、G、Cそれおぞれの塩基ごとに切断し、その断片を小さい順から並べ、それを読み取ります。
このシーケンス法については、説明すると非常に長くなるので、どうしても知りたい方は、こちらをご覧ください。
CAGリピート数とフィナステリドの効き目
AGAに最もよく効くプロペシアと言う育毛剤は、有効成分フィナステリドの働きによって、5αリダクターゼの活動を抑え、薄毛化を止めます。
そして、このフィナステリドの効果とCAGリピート数には大きな相関があります。
CAGリピート数が低い人はフィナステリドで劇的に改善する
下にCAGリピート数におけるフィナステリドの効果のグラフを用意したので見てください。
このグラフを見ると、CAGリピート数が16の人に対してフィナステリド(プロペシア)を投与した場合には、ほぼ100%の確率で劇的に改善されています。
そして、効果大の割合はCAGリピート数が増えるにしたがって低下しています。26以上では全く見られません。
逆にCAGリピート数が大きくなればなるほど、効果微(小さい)の割合も増えています。(32は除く)
という事は、AGAが進行しており、CAGリピート数が低い人はフィナステリドを服用する事でAGAが改善される確率が非常に高くなります。
CAGリピート数が高い人はDHT以外の原因でAGAになる
上のグラフでCAGリピート数が低ければ、フィナステリドの効果が高いと出ていましたが、これはCAGリピート数が低い人の場合、AGAの原因がDHTや男性ホルモン受容体だからです。
逆にAGAが進行しており、CAGリピート数が高い人はDHTや男性ホルモン以外が原因である可能性が高いです。
フィナステリドはあくまでDHTを抑制するための薬であり、DHTが抑制された結果、薄毛の進行が止まります。なので、他の原因でAGAが進行しており、初めからDHTの生成量が少ない場合にはフィナステリドによる改善はほとんど見られません。
という事は、CAGリピート数が高い人はDHTや男性ホルモン受容体以外が原因でAGAとなるため、これらの働きを抑えるフィナステリドではAGAの進行は止められないという事になります。
なので、その方の場合にはAGAの本当の原因を見つけ、それを改善させる必要があります。
CAGリピート数とGGCリピート数でAGAのなりやすさがわかる
AGAの遺伝検査においては、CAGリピート数以外にGGCリピート数というものも評価項目に入っています。
GGCリピートもCAGリピートと同じくAR遺伝子内のXq11~q12内にあり、G⇒G⇒Cという塩基配列を繰り返します。そして、GGCリピート数はその繰り返しの数です。
このGGCリピート数が低ければ低いほどAGAの発症リスクが高くなり、逆に高ければ高いほどAGAの発症リスクが低くなります。一応基準値としては13~15ぐらいです。
遺伝子検査において、最終的なAGA危険度はCAGリピート数とGGCリピート数を足した値で判断されます。この値の標準値は38で、それ以上ならリスクは低く、それ以下ならリスクは高くなります。
このCAGリピート数やGGCリピート数というのは自分自身の遺伝子情報なので、一生変わることはありません。将来のAGA予防のために遺伝子検査を受け、自分のCAGリピート数とGGCリピート数を把握しておきましょう。
薄毛危険度診断所 >> CAGリピート数からAGAのなりやすさを知る
AGA関連トピック
こちらに関連トピックを用意しました。これらをしっかりと読んで、AGAに関する知識を増やし、髪のボリュームを増やしましょう。
あなたの髪大丈夫ですか?
頭皮にトラブルがある場合には、そのダメージから脱毛しやすくなります。もし、その傾向が出ていたり、不安がある人は、当サイトの薄毛危険度診断を受けてみてはいかがでしょうか?
当サイトの薄毛診断は、合計26個の質問から、薄毛進行状況、頭皮、生活習慣、ストレス、遺伝の5つの状態をチェックします。
そして、その5つの状態から、最終的な薄毛危険度を1~100で表します。
また、危険度が高い場合には、その原因を説明し、簡単な対策法をアドバイスします。ぜひやってみてください。




